現場で使う電気計測器の使い分け|テスター・メガー・接地抵抗計から継電器試験器まで

作業台に並んだテスター・クランプメータ・絶縁抵抗計・接地抵抗計 測定器の使い方

現場には、似たような箱がいくつも並びます。テスター、メガー、接地抵抗計、クランプメータ、試験器。どれも「電気を測る道具」ですが、見ているものはそれぞれ違います。

迷ったときは、何を確かめたいのかから考えます。電圧があるかを見たいのか、絶縁を見たいのか、保護装置を動かしたいのか。目的が決まれば、使う測定器は自然に決まります。

ここでは、私が水力発電所や受変電設備の試験で実際に使っている測定器を、目的ごとに並べます。それぞれの使い方は、個別の記事で詳しく書いています。

目的別の早見表

確かめたいこと使う測定器詳しい記事
電圧があるかテスター/Lo-Zテスター誘導電圧とLo-Z測定、フルーク113レビュー
高圧の相がそろっているか高圧検相器並列試験
絶縁が保たれているか絶縁抵抗計(メガー)絶縁抵抗計の使い方
漏電の場所を探したい絶縁抵抗計(メガー)漏電の調べ方
接地がきいているか接地抵抗計接地抵抗計の使い方
漏れ電流がどれだけあるかリーククランプ漏れ電流Io・Ior・Igrの違い
高い電圧に耐えるか耐電圧試験装置耐電圧試験のやり方
継電器が整定どおり動くか無ひずみ試験器(継電器試験器)保護継電器試験とは
漏電遮断器が動くか漏電遮断器テスタ漏電遮断器・漏電リレーの試験方法
遮断器が決められた時間で動くか遮断器タイミングチェッカー遮断器の開閉時間測定
タイマーの時間が正しいかデジタル時間計タイマーリレーの試験方法
計器の表示が正しいかキャリブレータキャリブレータによる校正
回転などの信号を模擬したいファンクションジェネレータスピードセンサーの試験方法
複数の動きを同時に記録したいメモリハイコーダ負荷遮断試験

電圧と回路を確かめる

テスター

いちばん出番が多いのがテスターです。普段は、入力インピーダンスの高い一般的なデジタルテスターを使っています。

ただし、高インピーダンスのテスターは、ケーブルに乗った誘導電圧もそのまま拾います。ブレーカを切ったのに電圧が出る、という場面では、それが本物の電圧なのか判断できません。

Lo-Zテスター(フルーク113)

その切り分けに使うのが、Lo-Z(低インピーダンス)測定ができるテスターです。私はフルークの113を使っています。わざと低いインピーダンスで測ると、電源のない誘導電圧はすっと下がります。

注意したいのは、Lo-Z測定で対地間を測ると大地へ電流が流れることです。上位に漏電遮断器があると、動作させてしまうことがあります。

詳しくはブレーカを切ったのに電圧がある|誘導電圧と回り込み電圧の見分け方と、フルーク113のレビューに書いています。

高圧検相器

発電機を系統に並列する前には、高圧側の相がそろっているかを検相器で確かめます。私が使っているのは、HPI-A6です。

気をつけたいのは鳴り方です。機種によって「ずれているときに鳴る」ものと「そろったときに鳴る」ものがあります。現場で全員の読み方がずれていて、判断を誤りかけたことがあります。その話は並列試験の記事で書いています。

絶縁と接地を測る

絶縁抵抗計(メガー)

絶縁が保たれているかは、絶縁抵抗計で測ります。私が普段使っているのは日置電機のIR4052-51で、50Vから1000Vまで5つのレンジがあります。

電子機器が含まれる回路では、機器を切り離してから測るのが原則です。0MΩと出ても、測り方のせいでそう表示されることがあります。絶縁抵抗計(メガー)の使い方にまとめています。

回路を切り分けて漏電の場所を探す手順は、漏電の調べ方に、照明回路の実例で書いています。

接地抵抗計

接地がきちんときいているかは、接地抵抗計で測ります。判定に使う正式な測定は、日置電機のデジタルタイプで3極法。だいたいの値を知りたいときだけ、共立電気計器の簡易タイプで2極法、という使い分けです。

補助極の打ち方や、基準値を超えたときにどう下げたかは、接地抵抗計の使い方に書いています。

リーククランプ

運転中の回路の漏れ電流は、リーククランプで測ります。私が使っているのは横河の30032Aで、点検で測るのはIoまでです。

Ioが高くても、絶縁が悪いとは限りません。絶縁劣化によるぶんだけを見たいときは、Iorに対応した測定器を使います。違いは漏れ電流Io・Ior・Igrの違いで説明しています。

耐電圧試験装置

高い電圧をかけて絶縁が耐えるかを確かめるのが、耐電圧試験です。キュービクル母線の交流試験には双興電機製作所の一体型の試験機を、高圧ケーブルの直流試験にはムサシインテックの試験機を使っています。

試験前に試験容量を見積もっておかないと、当日に試験機の能力が足りないことがあります。耐電圧試験のやり方に、計算の仕方も含めてまとめています。

保護装置を試験する

無ひずみ試験器(継電器試験器)

OCR、DGR、UVR・OVR、OVGRなど、保護継電器の試験にはNF回路設計ブロックの無ひずみ試験器を使っています。電流や電圧を滑らかに上げられるので、動作した瞬間の値を読みやすい試験器です。

はじめは操作に慣れるまで苦労しましたが、数値で読めることの安心感は大きいです。試験の全体像は保護継電器試験とはにまとめています。地絡過電圧継電器の試験は、OVGRの試験方法で書いています。

漏電遮断器テスタ

漏電遮断器は、テストボタンだけでは点検になりません。低圧の漏電遮断器は、共立電気計器のKEW 5410一台で足ります。GR(地絡過電流継電器)や漏電リレーまで試験するときは、ムサシインテックのLB-6を使います。

感度電流と動作時間の測り方は、漏電遮断器(ELCB)・漏電リレーの試験方法に書いています。

遮断器タイミングチェッカー

遮断器の投入・開放時間や三相不揃い、最低動作電圧は、双興電機製作所の遮断器タイミングチェッカー(CBT-4T75VDH)で測っています。

つなぎ方と、停止中に投入してもすぐ開いてしまうときの原因は、遮断器(VCB)の開閉時間測定で扱っています。

デジタル時間計

タイマーリレー(限時継電器)の動作時間は、デンソクテクノのデジタル時間計(MCS-5100)で測っています。スタートとストップの2つの信号の間の時間を測るので、ストップウォッチのように人の反応のずれが入りません。

オンディレイ・オフディレイそれぞれのつなぎ方と判定は、タイマーリレー(限時継電器)の試験方法にまとめています。

信号を作る・記録する

キャリブレータ

制御盤に表示される温度や圧力が正しいかは、キャリブレータで確かめます。私が使っているのは横河のCA500です。信号を「作る」SOURCEと、「読む」MEASUREの2つのモードを使い分けます。

キャリブレータによる校正に、4-20mAと温度センサの手順をまとめています。

ファンクションジェネレータ

水を通す前の試験では、回転の信号がありません。そこで、ファンクションジェネレータで周波数を作り、スピードセンサーの信号の代わりに入れます。何ヘルツを入れればいいかの計算は、スピードセンサーの試験方法に書いています。

起動から停止までのシーケンスを模擬する無水総合試験でも、同じ考え方で使います。

メモリハイコーダ

複数の動きを、同じ時間軸で記録したいときに使うのが、日置電機のメモリハイコーダです。回転速度、水圧、電圧、ガイドベーン開度などを並べて記録できます。

人の目では追えない一瞬の変化も、記録を並べると見えてきます。負荷遮断試験や故障停止試験では、この記録から不具合が見つかりました。

まとめ

  • 測定器は、何を確かめたいかで選ぶ
  • 電圧はテスター。誘導電圧を疑うときはLo-Z
  • 絶縁はメガー、接地は接地抵抗計、運転中の漏れ電流はリーククランプ
  • 保護装置は、継電器試験器・漏電遮断器テスタ・遮断器タイミングチェッカーで動作を測る
  • 計器はキャリブレータ、記録はメモリハイコーダ

新しい測定器を使ったら、この記事にも書き足していきます。

電気ライオン

水力発電所で、電気設備の保守と現地試験を担当しています。経験は10年ほど。
継電器試験、無水・有水試験、測定器の使い方など、自分の手でやってきたことだけを書いています。
電験三種、第一種電気工事士、1級電気工事施工管理技士、消防設備士甲種第4類。

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