制御器具番号(デバイス番号)一覧|51・86・87など現場で見る番号の意味

記事のアイキャッチ画像。配電盤の故障表示灯が並び、86-1と87が赤く点灯している。右側に「制御器具番号の読み方」の見出しと、27・51・59・64・67・86・87・95の番号を並べている。 保護継電器の試験

盤の故障表示が点灯している。「86-1」と「87」。番号は読める。でも、それが何を意味するのかが分からない。

私が最初に現場に出たころ、これで固まりました。故障表示はすべて器具番号で書かれています。番号を知らなければ、何の故障なのかが分かりません。

この記事には、現場でよく見る番号から始めて、JEM 1090の全番号(1〜99)の一覧表、番号の後ろにつく英字(補助記号)の読み方、そして故障表示から原因を絞り込む順番まで載せています。

制御器具番号とは何か

制御器具番号は、電気機器や継電器を番号で表す決まりです。JEM 1090(日本電機工業会規格)で定められています。

「交流過電流継電器」と書く代わりに「51」と書く。図面でも盤の銘板でも、この番号が共通で使われます。

番号を使う理由は、図面が読みやすくなるからです。長い名称をそのまま書けば、単線結線図は文字で埋まります。番号なら2桁で済みます。

「交流過電流継電器」は9文字、「51」なら2文字です。単線結線図には機器が何十と並びます。この差が、そのまま図面の読みやすさになります。

利点は図面の中だけではありません。

メーカーが変わっても番号は変わりません。継電器の製造元が違っても、過電流継電器は51です。設備ごとに型式や商品名を覚え直す必要はありません。

会社をまたいでも通じます。ひとつの設備には、客先、メーカー、施工会社、試験会社が関わります。それぞれ社内の呼び方に癖はありますが、番号は共通です。図面に51と書いてあれば、誰が見ても過電流継電器です。

口頭でも使えます。現場で「51が動作した」と言えば、それだけで伝わります。無線や電話で長い名称を言うより速く、聞き間違いも起きにくい。私はここに一番助けられています。

なお、番号で機器を表す考え方は日本だけのものではありません。海外ではANSIデバイス番号が使われています。ANSIはAmerican National Standards Institute(米国規格協会)の略で、番号そのものはIEEE C37.2という規格で定められています。起源は1928年までさかのぼります。

JEM 1090の番号は、このANSI番号と対応しています。27が不足電圧、51が過電流、87が差動。日本の図面で覚えた番号は、海外製の機器の図面でもそのまま手がかりになります。

そのかわり、番号を知らない人にはまったく読めません。ここが最初の壁になります。

現場でよく見る番号

規格には約100の番号があります。そのすべてを使う設備はありませんが、実際の盤にはここに挙げる以外の番号も並びます。まずは、私が水力発電所と受変電設備でよく目にする番号を挙げます。

番号名称どこで見るか
8制御電源スイッチ盤内、制御電源の入切
26静止器温度継電器変圧器の温度監視
27交流不足電圧継電器電圧低下の検出
38軸受温度継電器発電機・水車の軸受
51交流過電流継電器過電流保護
52交流遮断器主回路の入切(VCBなど)
59交流過電圧継電器電圧上昇の検出
64地絡過電圧継電器地絡の検出
67交流電力方向継電器(地絡方向継電器)地絡方向の判別
84電圧継電器電圧の監視
86ロックアウト継電器故障時の一括遮断・保持
88補機用遮断器・接触器ポンプやファンなど補機の入切
87差動継電器発電機・変圧器の主保護
95周波数継電器周波数の監視

これで足りるわけではありません。設備によって使われる番号は違いますし、ここに挙げていない番号が並んでいることもあります。

それでも、最初から100個を覚えようとする必要はありません。よく出てくる番号から覚えて、現場で見かけた番号を足していく。私はその順で増やしてきました。

それぞれの試験方法は別の記事にまとめています。51(OCR)、64・67(DGR)、27・59(UVR・OVR)、2(限時継電器・タイマー)。

よく調べられる番号の意味(27・51・52・64・84・87)

表の中でも、意味を聞かれることが多い番号を少し補足します。

27(交流不足電圧継電器、UVR):電圧が整定値より下がると動作します。停電や電圧低下の検出に使います。

51(交流過電流継電器、OCR):決められた値より大きな電流が流れると動作します。過電流保護の基本になる継電器です。

52(交流遮断器):継電器ではなく、主回路を入り切りする遮断器そのものの番号です。VCBやGCBなどがこれにあたります。

64(地絡過電圧継電器、OVGR):地絡が起きたときに現れる零相電圧を検出して動作します。試験方法はOVGRの試験方法にまとめています。

84(電圧継電器):電圧があるかどうか、決められた電圧が出ているかを見る継電器です。発電所では、起動の途中で発電機の電圧が確立したことを検出するのに使われます。

87(差動継電器):機器に入る電流と出る電流の差を見て、内部の故障を検出します。発電機や変圧器の主保護です。

制御器具番号の一覧(JEM 1090の全番号)

ここからは辞書として使ってください。図面や盤で見慣れない番号に出会ったとき、この表で当たりをつけられます。

番号名称
1主幹制御器又はスイッチ
2始動・閉路限時継電器
3操作スイッチ
4主制御回路用制御器又は継電器
5停止スイッチ又は継電器
6始動遮断器・接触器・継電器
7調整スイッチ
8制御電源スイッチ
9界磁転極スイッチ
10順序スイッチ・接触器・継電器
11試験スイッチ・継電器
12過速度スイッチ・継電器
13同期速度スイッチ・継電器
14低速度スイッチ・継電器
15速度整定装置
16表示線監視継電器
17表示線継電器
18加速又は減速接触器
19始動運転切換接触器
20補機弁
21主機弁
22漏電遮断器
23温度調整装置
24タップ切換装置
25同期検出装置
26静止器温度スイッチ・継電器
27交流不足電圧継電器(UVR)
28警報装置
29消火装置
30機器の状態又は故障表示装置
31界磁変更遮断器・接触器
32直流逆流継電器
33位置検出スイッチ・継電器
34電動順序制御器
35ブラシ操作装置
36極性継電器
37不足電流継電器
38軸受温度スイッチ・継電器
39機械的異常監視装置
40界磁電流継電器
41界磁遮断器・接触器
42運転遮断器・接触器
43制御回路切換スイッチ・接触器・継電器
44距離継電器
45直流過電圧継電器
46逆相・相不平衡電流継電器
47欠相・逆相電圧継電器
48渋滞検出継電器
49回転機温度スイッチ・過負荷継電器
50短絡選択継電器・地絡選択継電器
51交流過電流継電器・地絡過電流継電器(OCR)
52交流遮断器・接触器(CB)
53励磁継電器・励弧継電器
54高速度遮断器
55自動力率調整器
56すべり検出器
57自動電流調整器
58(予備番号)
59交流過電圧継電器(OVR)
60自動電圧平衡調整器
61自動電流平衡調整器
62停止・開路限時継電器
63圧力スイッチ・継電器
64地絡過電圧継電器(OVGR)
65調速装置
66断続継電器
67交流電力方向継電器・地絡方向継電器(DGR)
68混入検出器
69流量スイッチ・継電器
70加減抵抗器
71整流素子故障検出装置
72直流遮断器・接触器
73短絡用遮断器・接触器
74調整弁
75制動装置
76直流過電流継電器
77負荷調整装置
78搬送保護位相比較継電器
79交流再閉路継電器
80直流不足電圧継電器
81調速機駆動装置
82直流再閉路継電器
83選択スイッチ・接触器・継電器
84電圧継電器
85信号継電器
86ロックアウト継電器
87差動継電器
88補機用遮断器・接触器・継電器
89断路器・負荷開閉器(DS/LBS)
90自動電圧調整器・自動電圧調整継電器
91自動電力調整器・電力継電器
92扉又はダンパ
93(予備番号)
94引外し自由接触器・継電器
95自動周波数調整器・周波数継電器
96静止器内部故障検出装置
97ランナ
98連結装置
99自動記録装置
制御器具番号(JEM 1090)の一覧。58と93は予備番号で、機器が割り当てられていません。

名称は、同じ番号でも資料によって書き方が少しずつ違います。たとえば51は「交流過電流継電器」とだけ書かれることもあれば、「交流過電流継電器又は地絡過電流継電器」と書かれることもあります。正式な定義はJEM 1090の原典で確認してください。

この表をひととおり眺めると、番号の並びに規則があることが分かります。40番台までは機器の操作や検出、50番台から80番台に継電器と遮断器、90番台に調整装置や記録装置。番号を見ただけで、おおよその役割の見当がつきます。

番号の後ろにつく英字

番号だけでは、どの機器を指しているのかが分かりません。そこで英字を付けて区別します。

私の現場で見るのは、こういう組み合わせです。

表記意味
8G発電機の制御電源スイッチ
8H所内の制御電源スイッチ
26D変圧器のダイヤル温度計
38D軸受のダイヤル温度計
51T変圧器の過電流継電器
87T変圧器の差動継電器
87G発電機の差動継電器
67G地絡方向継電器
27B母線の不足電圧継電器
64B母線の地絡過電圧継電器
95H周波数継電器(高)
95L周波数継電器(低)

補助記号の意味

英字の多くは、対象の機器や回路の頭文字です。整理すると、こうなります。

記号意味例
G発電機(Generator)または地絡(Ground)87G=発電機の差動継電器
67G=地絡方向継電器
H所内(House)/上限(High)8H=所内の制御電源スイッチ
95H=周波数の上限側
L下限(Low)/線路(Line)95L=周波数の下限側
T変圧器(Transformer)51T、87T
B母線(Bus)27B、64B
Fフィーダ(Feeder)51F
R受電(Receiving)52R
Dダイヤル温度計(現場での呼び方)26D、38D
-1 / -2同じ番号の機器を区別する連番86-1=非常停止
86-2=急停止

ここで気をつけたいのは、同じ英字でも意味が変わることです。

Gは、87Gでは「発電機」ですが、67Gでは「地絡」です。Hは、8Hでは「所内」ですが、95Hでは「高いほう」を指します。英字だけを見て決めつけると読み違えます。必ず番号とセットで意味を取ってください。

そして、補助記号の付け方には規格のような統一がありません。電力会社やメーカー、設計事務所ごとに流儀が違います。迷ったら、その図面の凡例を見るのが確実です。

英字のおおまかな意味は次のとおりです。

  • G:発電機(Generator)、または地絡(Ground)
  • H:所内、または高い側(High)
  • T:変圧器(Transformer)
  • B:母線(Bus)
  • D:ダイヤル温度計
  • L:低い側(Low)

ここで気づいてほしいことがあります。8Hの「H」は所内を意味しますが、95Hの「H」は高い側を意味します。同じ文字でも、番号が違えば意味が変わります。

Gも同じです。87Gは発電機の差動継電器、67Gは地絡方向継電器。前者のGは発電機、後者のGは地絡です。

英字だけを見ても意味は決まりません。番号とセットで読んでください。

そしてもうひとつ。補助記号の付け方には、規格で完全に統一されていない部分があります。電力会社や設計事務所ごとに流儀が違うため、はじめて入る現場では、その設備の図面や社内資料で確認するのが確実です。ここに挙げたのは、あくまで私の現場での使われ方です。

番号を数字だけで覚えない

87という番号を「差動継電器」とだけ覚えていると、現場では足りません。

87Tが動作したのか、87Gが動作したのかで、原因を探す場所がまったく違います。前者なら変圧器とその周辺のCT回路、後者なら発電機の巻線とその周辺です。

8も同じです。8Gと8Hは、どちらも制御電源スイッチですが、切れたときに止まるものが違います。発電機の制御電源なのか、所内の制御電源なのか。ここを取り違えると、探す場所を間違えます。

86では枝番が同じ役割を果たします。86-1と86-2は、どちらもロックアウト継電器ですが、遮断する範囲が違います。詳しくは水車発電機の停止区分にまとめました。

番号は「何の機器か」を示すだけです。「どこを守っているか」は、英字と枝番が示します。

故障表示から原因を絞り込む順番

ここで押さえておきたいことがあります。86-1が動作したとき、表示されるのは86-1だけではありません。引き金になった継電器の番号も一緒に表示されます。

51なのか、87なのか、64なのか。その番号が原因を指しています。86-1は「その故障で一括遮断がかかった」という結果を示しているだけです。原因を教えてくれるのは、隣に並んでいる番号のほうです。

盤に故障表示が出たとき、私はこの順で見ていきます。

  1. 表示されている番号と英字を読む(例:87T)
  2. その番号が何の継電器かを確認する(差動継電器)
  3. 英字から対象機器を特定する(変圧器)
  4. 単線結線図でその継電器の位置を確認する
  5. リレー本体の表示を見に行く(どの相が動作したか)
  6. 86が動作していれば、どこまで遮断されたかを確認する

慣れないうちは、1と2で止まってしまいます。番号の意味が出てこないからです。

私は最初、この一覧を手帳に書いて持ち歩いていました。図面を見ながら番号を引ければ、それだけで動けるようになります。

番号はどこで確認できるか

現場で番号を確認する場所は、主に3つです。

単線結線図。どの位置にどの継電器が入っているかが分かります。全体の構成をつかむにはここが一番です。

水力発電所の単線結線図に器具番号を配置した図。上から52交流遮断器、母線に27Bと64B、51T変圧器の過電流継電器、変圧器に26Dダイヤル温度計、変圧器区間を87T差動継電器が囲み、下部の発電機に87G・38D・95H・95Lを示している。
図1 単線結線図に現れる器具番号

シーケンス図(展開接続図)。その継電器が動作したとき、どこに信号が飛ぶかが分かります。86を経由してどの遮断器がトリップするか、追えるのはこの図です。

リレー本体のラベル。盤の前に立ったとき、目の前の機器が何番なのかはここで確認します。

番号の意味そのものは、社内の教育資料で確認しています。JEM 1090の規格書が手元になくても、たいていの会社には保護継電器の教育資料があります。まずは自分の会社の資料を探してみてください。

まとめ

制御器具番号は、機器や継電器を番号で表す決まりです。JEM 1090で定められています。

私の現場でよく見るのは、8・26・27・38・51・59・64・67・84・86・87・95。ただし規格にはこれよりずっと多くの番号があり、設備が変われば出てくる番号も変わります。

全部を覚える必要はありません。よく出てくる番号から順に増やしていけば十分です。

番号の後ろの英字は、どの機器を指しているかを示します。G・T・B・D・H・Lなど。ただし同じ文字でも番号が変われば意味が変わり、付け方も現場ごとに流儀があります。図面や社内資料で確認してください。

故障表示を見たら、番号と英字を読み、継電器の種類と対象機器を特定し、図面で位置を追う。この順番で絞り込めます。

はじめは覚えられなくて当然です。私も一覧を手帳に書いて持ち歩くところから始めました。よく見る番号から順に、少しずつで大丈夫です。

保護継電器そのものについては保護継電器試験の基礎に、継電器から遮断器までの動作確認については保護連動試験にまとめています。

電気ライオン

水力発電所で、電気設備の保守と現地試験を担当しています。経験は10年ほど。
継電器試験、無水・有水試験、測定器の使い方など、自分の手でやってきたことだけを書いています。
電験三種、第一種電気工事士、1級電気工事施工管理技士、消防設備士甲種第4類。

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