極性試験のやり方|CTの減極性の確かめ方とVT試験・一点接地の確認

記事のアイキャッチ画像。左に変流器CTの図があり、一次導体の両端にKとL、二次巻線にkとlの端子記号を示している。右に「CT・VTの試験方法」の見出しと、極性試験・レシオ試験・絶縁抵抗測定・一点接地確認の4項目を並べている。 保護継電器の試験

保護継電器の試験に合格しても、それだけでは安心できません。

継電器は、CTとVTから送られてくる電流と電圧を見て動作します。その入り口が間違っていれば、継電器がどれだけ正確でも、正しく動きません。

CT・VTの試験では、極性試験、レシオ試験、絶縁抵抗測定、そして二次回路の一点接地確認を行います。CTとVTでは、二次側の扱いが正反対になる点にも注意が必要です。

CT・VTの試験で何を確認するのか

私が現場で行うのは、次の4つです。

試験何を確認するか
極性試験一次と二次の向きが合っているか
レシオ試験変流比が銘板どおりか
絶縁抵抗測定巻線と回路の絶縁が保たれているか
一点接地確認二次回路の接地が1か所だけか

前の3つは機器そのものを見る試験です。最後の1つは、二次回路の配線を見る確認です。

この4つが済んでいないと、保護継電器の試験に進んでも意味がありません。入力が正しいという前提が成り立っていないからです。

極性試験

CTやVTには向きがあります。一次側のK・L、二次側のk・lです。この向きが合っていないと、電流や電圧の位相が反転します。

位相が反転すると、方向性を持つ継電器が成立しません。差動継電器(87)や地絡方向継電器(67)は、向きを前提に動作を決めています。番号の意味は制御器具番号の読み方にまとめました。

電池法での確認

私は電池法で確認しています。

結線はこうです。一次側のK–Lに電池をつなぎ、二次側のk–lに両振れの電流計を接続します。電流計は針が中央にあるもの(センターゼロ)を使います。どちらに振れたかを読む必要があるからです。

この状態で電池を投入し、その瞬間に針が+に振れれば減極性です。CTやVTは減極性で作られているので、これで向きが合っていることになります。

CT極性試験の結線図。一次側のK-L間に電池と投入スイッチを接続し、二次側のk-l間に両振れ(センターゼロ)の電流計を接続している。電池を投入した瞬間に針が+側へ振れれば減極性であることを示している。
図1 CT極性試験(電池法)の結線

やり方はシンプルですが、記録の残し方が大事です。

試験成績書には、試験回路図を描き、その中に電池と電流計の位置を図示します。そのうえで、針が+に振れたか、−に振れたかを記入します。

なぜここまで書くのか。振れた向きだけを書いても、後から見た人には判断できないからです。電池をどちら向きに、どの端子につないだのか。電流計をどこに入れたのか。それが分かってはじめて、「+に振れた」という記録が意味を持ちます。

図と結果はセットです。どちらか一方では、次に同じ試験をする人が再現できません。

レシオ試験

変流比が銘板どおりかを確認します。

方法は、一次側に実際に電流を流し、二次側をクランプメータで測るやり方です。電流は無ひずみ試験機で入力します。

銘板を見れば変流比は分かります。それでも実際に流すのは、銘板と現物が一致しているとは限らないからです。取り付け間違い、タップの設定違い、結線の誤り。こうしたものは、電流を流してみないと出てきません。

一次に流した電流と二次で測った電流の比が、銘板の変流比と合っていることを確認します。

ただし、誤差をどこまで許すかは決め打ちできません。CT・VTには精度階級があり、それを踏まえて判定を決めます。実際の合否基準は客先の仕様によって変わるので、試験前に確認しておいてください。現場で測ってから「この値は合格なのか」と迷うことになります。

二次側の測定にクランプメータを使うのは、回路を切らずに測れるからです。クランプメータの使い方は別記事にまとめています。

絶縁抵抗測定

絶縁抵抗計(メガー)で測定します。

測定電圧は、一次側が1000V、二次回路が500Vです。

一次側は、一次–二次間と一次–対地間の両方を測定します。

電圧を分けている理由は、回路にかかる電圧が違うからです。一次側は高圧回路につながります。二次回路は低圧で、しかも継電器や計器がつながっています。低圧の回路に高い試験電圧をかければ、機器を傷める可能性があります。

判定値も、客先の仕様によって変わります。レシオ試験と同じく、基準は事前に確認しておくことです。

測定手順そのものは、通常の絶縁抵抗測定と変わりません。絶縁抵抗計(メガー)の使い方にまとめています。

二次回路の一点接地を確認する

ここが、CT・VTの試験で見落とされやすい部分です。

なぜ1か所でなければならないのか

二次回路の接地は、なくても困り、多くても困ります。

接地がなければ、一次と二次が混触したときに、二次回路へ高い電圧が現れます。低圧のつもりで触れる回路なので、これは危険です。だから接地は必要です。

一方、接地が2か所以上あると、接地線と大地とでループができます。このループに循環電流が流れると、測定値に誤差が出ます。継電器が見ている値が、本来の値からずれるということです。

だから、接地は1か所。多くても少なくてもいけません。

確認の手順

私は絶縁抵抗測定と合わせて実施しています。

  1. テスターで、接地されていることを確認する
  2. 接地線を離線する
  3. メガーで絶縁抵抗を測定する
  4. 接地線を元に戻す
  5. テスターで、もう一度接地を確認する
CT・VT二次回路の一点接地を説明する図。上段で接地が1か所の正しい例と、2か所あって循環電流が流れる誤りの例を対比し、下段でテスターで接地確認→離線→メガー測定→復旧→テスターで再確認という5つの手順を示している。
図2 二次回路の一点接地と確認手順

1で接地の有無を見て、2で外し、3で測る。ここまでは自然な流れです。

大事なのは5です。戻したつもりでも、締め付けが甘かったり、端子を取り違えたりすることがあります。外した以上、戻したことを確認するまでが手順です。

3のメガー測定で接地を離線するのは、接地がつながったままでは正しい絶縁抵抗が測れないからです。この作業のついでに一点接地も確認できるので、私はまとめて行っています。

CT二次側を開放しない

CTの二次側は、絶対に開放してはいけません。

一次に電流が流れている状態で二次を開放すると、一次電流のすべてが励磁電流として働き、二次側に非常に高い電圧が発生します。機器の損傷にも、感電にもつながります。

現場では、次のようにして開放を防いでいます。

結線後はテスターで開放していないことを確認する。結線した時点で、導通があることを確かめます。

試験プラグを挿入するときは、短絡バーを取り付ける。プラグの抜き差しで一瞬でも回路が切れないようにするためです。

プラグを挿入する前に、テスターで導通確認を行う。短絡バーが効いているかを、差し込む前に確かめます。

どれも「差し込む前」「結線した後」に確認しています。開放してしまってからでは遅いからです。

予備CTの短絡を忘れて端子台を焼いた

失敗した経験があります。

予備のCTを端子台で短絡しないまま、充電してしまいました。

使っていない巻線でした。どこにもつながっていないので、「何もしていない」つもりになっていたのだと思います。結線して使う回路は何度も確認するのに、予備は確認の対象から抜け落ちていました。

しばらくして、端子台が焼損しました。開放された二次側に高い電圧が発生し、それが端子間にかかり続けた結果です。

使っていないCTの二次側も、開放のままでは危険です。むしろ、使っていないからこそ短絡を忘れます。

結線の確認では、つないだ回路だけを見てはいけません。つないでいない巻線こそ、短絡されているかを確かめてください。私はこれで一度、設備を壊しています。

VTの試験はCTと何が違うか

ここまではCTを中心に書いてきました。VTでも、極性試験・レシオ試験・絶縁抵抗測定・一点接地確認の4つを行います。

手順はCTと同じです。極性試験は電池法。絶縁抵抗測定も一次側1000V、二次回路500Vで、一次–二次間と一次–対地間の両方を測ります。レシオ試験だけは、流すものが電流ではなく電圧になります。一次側に電圧を加えて、二次側で測ります。

違うのは、二次側の扱いです。

CTは開放厳禁、VTは短絡厳禁

二次側でやってはいけないことが、CTとVTでは正反対です。

CTVT
二次側の禁止事項開放厳禁短絡厳禁
そのとき何が起きるか高い電圧が発生する大きな電流が流れる
テスターでの確認導通があること導通がないこと

理由は、二次側から見たときの振る舞いが違うからです。CTは電流を送り出す側として働くので、行き先を失うと電圧が跳ね上がります。VTは電圧を送り出す側なので、短絡すれば大きな電流が流れます。変圧器の二次側を短絡したときと同じです。

現場では、VTも結線後にテスターで確認します。ただし見るものが逆です。CTでは導通があることを確かめ、VTでは導通がないことを確かめます。

同じテスターを当てて、期待する結果が逆になります。ここは頭を切り替えないと、逆の判断をしてしまいます。CTの確認を続けたあとにVTへ移るときは、とくに意識するようにしています。

まとめ

CT・VTの試験で確認するのは、極性、比率(CTは変流比、VTは変圧比)、絶縁、そして二次回路の一点接地です。

極性試験は電池法で行います。一次K–Lに電池、二次k–lに両振れの電流計。+に振れれば減極性です。試験回路図に電池と電流計を図示したうえで、+か−かを記録します。図と結果はセットです。

レシオ試験は、一次側に無ひずみ試験機で電流を流し、二次側をクランプメータで測ります。銘板と現物が一致しているとは限らないので、実際に流して確かめます。

絶縁抵抗測定は、一次側1000V、二次回路500V。一次側は一次–二次間と一次–対地間の両方を測ります。判定値は客先の仕様によります。

一点接地確認は、テスターで確認 → 離線 → メガー測定 → 復旧 → もう一度テスターで確認。戻したことを確認するまでが手順です。

そして、CT二次側は開放しない。結線後とプラグ挿入前に、テスターで導通を確かめます。

使っていない予備のCTも同じです。短絡を忘れたまま充電して、端子台を焼いたことがあります。つないでいない巻線ほど、確認から抜け落ちます。

VTはその逆で、短絡厳禁です。手順はCTと同じですが、テスターで確かめるのは「導通がないこと」。同じ計器を当てて、期待する結果が逆になります。

ここが正しくできていてはじめて、保護継電器の試験が意味を持ちます。継電器が見ているのは、CTとVTが送ってきた値だからです。

試験の全体像は無水試験とはにまとめています。

二次回路の循環電流と同じく、並走するケーブルからの誘導電圧も現場で問題になります。その調査方法はブレーカを切ったのに電圧がある|誘導電圧とLo-Z測定にまとめました。

電気ライオン

水力発電所で、電気設備の保守と現地試験を担当しています。経験は10年ほど。
継電器試験、無水・有水試験、測定器の使い方など、自分の手でやってきたことだけを書いています。
電験三種、第一種電気工事士、1級電気工事施工管理技士、消防設備士甲種第4類。

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