遮断器(VCB)の開閉時間測定|投入・開放時間、三相不揃い、最低動作電圧と引き外し自由試験のやり方

遮断器タイミングチェッカーの投入ボタンを押す手元 保護継電器の試験

遮断器は、事故のときに回路を切るための機器です。切るべきときに、決められた時間で切れるか。入れるべきときに、きちんと入るか。これを数字で確かめるのが開閉時間測定です。

見た目では「入った」「切れた」としか分かりません。何ミリ秒で動いたか、3相がそろって動いたかは、測ってみないと分かりません。

遮断器の開閉時間測定とは

遮断器に投入指令や引き外し指令を入れ、主接点が実際に閉じる(開く)までの時間を測る試験です。

あわせて、3相の接点がどれだけそろって動いているか(三相不揃い)、操作電圧が下がっても動作するか(最低動作電圧)、投入と引き外しが重なったときに正しく開放するか(引き外し自由)も確認します。

遮断器はデバイス番号では「52」です。番号の意味は制御器具番号(デバイス番号)一覧にまとめています。

いつ測るのか

私が実施しているのは次の3つの場面です。

  • 無水試験の項目の一つとして
  • 遮断器を交換・更新したとき
  • 定期点検のとき

無水試験の全体像は無水試験とはにまとめています。遮断器の動作は、このあと行う並列試験や負荷遮断試験の前提になるので、ここで数字を押さえておきます。

使っている試験器

現場では、双興電機製作所(SOUKOU)の遮断器タイミングチェッカー「CBT-4T75VDH」を使っています。

タイミング測定と最低動作電圧の測定が1台でできる試験器です。直流操作の遮断器を3チャンネルで測定でき、結果はその場でプリンタから印字できます。

前面には大きく分けて2系統の端子があります。

  • 操作回路:P・入(C)・切(T)・N
  • 主接点入力:A・B・C・COM

試験の準備

遮断器を引き出す

遮断器は、キュービクルから引き出した状態で試験します。どこまで引き出すかというと、制御プラグの配線が届く範囲までです。

引き出すことで主回路は母線から切り離され、制御回路はプラグでつながったまま。この状態で操作と測定を行います。

試験器のつなぎ方

試験器の端子つなぐ先
P・N制御電源の端子台
入(C)端子台の投入回路
切(T)端子台の引き外し回路
A・B・C主回路のR・S・T(片側)
COM反対側のR・S・Tを蛇腹線で短絡した点
遮断器タイミングチェッカーと遮断器・制御端子台の接続図

主接点の片側を3相とも短絡してCOMにまとめ、反対側を相ごとにA・B・Cへ入れます。こうすると、各相の接点が閉じた(開いた)瞬間を、相ごとに別々に検出できます。

制御回路に試験配線をつなぐときは、必ず電源を切り、無電圧を確認してからつなぎます。

端子台では、試験配線で隣の端子と短絡させないように、PとNは段違いの位置でつなぎます。関係のない端子はビニールテープで養生しておきます。

測定の手順

1. 投入時間・開放時間・三相不揃い

試験器から投入指令を入れ、指令から各相の主接点が閉じるまでの時間を測ります。続けて引き外し指令を入れ、各相の主接点が開くまでの時間を測ります。

三相不揃いは、R相を基準にして、S相・T相がどれだけずれて動いたかを見ます。

値は遮断器のメーカーによって変わりますが、私が見てきた範囲では、投入でおよそ120ms、引き外しでおよそ30msくらいです。判定はメーカー基準で行います。

投入時間・開放時間と三相不揃いの読み方を示すタイミングチャート

2. 最低動作電圧・最低投入電圧

試験器の可変電圧で操作電圧を少しずつ下げていき、遮断器が動作しなくなるところを探ります。記録するのは「動作した最後の電圧」です。

制御電源の電圧は、蓄電池の状態などで下がることがあります。電圧が少し下がっただけで動かない遮断器では、いざというときに切れません。そのため、どこまで下がっても動けるかを確かめておきます。

3. 引き外し自由試験

投入と引き外しが同時に入ったときに、遮断器が開放側で止まるかを確認する試験です。手順は次のとおりです。

  1. 入と切を同時に押す(遮断器は入っても、すぐ引き外されて開放になる)
  2. 切指令だけを離し、入指令は押したままにする
  3. 遮断器が再投入せず(ポンピングせず)、開放のままであることを確認する
  4. 確認できたら入指令を離す

ポイントは2〜3です。投入指令が残っていても、遮断器が「入・切・入・切」を繰り返さないこと。ポンピング防止の回路がきちんと効いているかを、ここで見ています。

現場でつまずきやすいところ

投入指令を出しても、すぐ開放してしまう

試験で投入指令を出したのに、遮断器が入った直後に開いてしまうことがあります。

遮断器の故障を疑いたくなりますが、原因は別のところにありました。設備が停止中のため、保護回路や停止シーケンスから切指令(引き外し指令)が出たままになっていたのです。

この場合は、リレーロックなどで切指令を解除してから試験を行います。試験が終わったら、解除したものを元に戻すのを忘れないようにします。

安全面で気をつけていること

入・切の指令を入れるときは、必ず周囲に合図してから操作します。

遮断器は、指令が入った瞬間に操作機構が勢いよく動きます。誰かが点検のために操作機構へ手を入れていたら、大事故になります。ボタンを押す前の一声は省略しません。

試験後は、試験配線と蛇腹線の取り外し、端子台の養生テープの撤去、リレーロックの復旧を確認してから、遮断器を元の位置に戻します。

記録と判定

測定値は報告書に記入します。記入するのは次の3つです。

  • 各相の投入時間・開放時間
  • R相を基準にした三相不揃い時間
  • 最低動作電圧・最低投入電圧

判定は、いずれもメーカー基準で行います。交換や更新のときの値は、その後の定期点検で比べるための基準にもなるので、きちんと残しておきます。

ほかの測定器をどう使い分けているかは、現場で使う電気計測器の使い分けにまとめています。

まとめ

  • 開閉時間測定は、無水試験・交換更新時・定期点検で行う
  • 遮断器は制御プラグが届く範囲で引き出して試験する
  • 測るのは、投入時間・開放時間・三相不揃い・最低動作電圧・引き外し自由
  • 投入してもすぐ開くときは、停止中に出たままの切指令を疑う
  • 指令を入れる前は、必ず周囲に合図する

遮断器は普段は動かない機器です。だからこそ、動いたときに決められた時間で確実に動くかを、数字で残しておくことが大切だと考えています。

電気ライオン

水力発電所で、電気設備の保守と現地試験を担当しています。経験は10年ほど。
継電器試験、無水・有水試験、測定器の使い方など、自分の手でやってきたことだけを書いています。
電験三種、第一種電気工事士、1級電気工事施工管理技士、消防設備士甲種第4類。

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