漏電の調べ方|メガーで絶縁不良の場所を切り分けて特定する手順【照明回路の実例】

測定器の使い方

発電所の照明回路で、配線用遮断器がトリップしました。

ブレーカーを切ってメガーで測ると、絶縁抵抗はほぼ0MΩでした。回路のどこかで、電線が大地につながっています。ただ、その回路には照明がたくさんつながっていて、どこが悪いのかは測っただけではわかりません。

最後に見つかった原因は、中継箱の中の接続部でした。ビニールテープの巻きが足りず、心線が金属の箱に触れていたのです。

この記事では、このときの探し方をもとに、メガーで回路を切り分けて漏電の場所を見つける手順を書きます。

なお、この記事は電気工事や保守を仕事にしている人に向けて書いています。ブレーカーを切る、接続を切り離す、といった作業は、資格を持った人が行ってください。

漏電で配線用遮断器が落ちることもある

漏電というと、漏電ブレーカーや漏電リレーが動作する場面を思い浮かべる人が多いと思います。今回の照明回路には、漏電ブレーカーも漏電リレーも付いていませんでした。それでも、配線用遮断器が落ちました。

心線が金属の箱にほぼ直接触れていたため、大地へ流れる電流(地絡電流)が大きくなり、配線用遮断器でも落ちたのです。

漏電ブレーカーがない回路でも、配線用遮断器のトリップが漏電の合図になることがあります。配線用遮断器が落ちたときは、ショートだけでなく、漏電も疑ってメガーで測ります。

漏電を調べる道具

メガー(絶縁抵抗計)

私が漏電を調べるときに使うのは、メガーです。回路を止めて、電線と大地の間の絶縁抵抗を測ります。値がほぼ0MΩなら、どこかで電線が大地につながっています。

メガーの基本的な使い方と、測り方で数値を見誤る例は、絶縁抵抗計(メガー)の使い方にまとめています。

リーククランプ

電気を止めずに調べるときは、リーククランプで漏れ電流を測る方法もあります。私はあまり使っていません。漏れ電流の測り方は、漏れ電流Io・Ior・Igrの違いで書いています。

メガーで測る前に

ブレーカーを切って測る

メガーは、回路に電圧をかけて測る測定器です。測るときは、必ずその回路のブレーカーを切ります。

レンジを選び、線と大地の間を測る

測るのは、線と大地の間です。

メガーのレンジは、ふだんは回路の電圧に合わせて選びます。200Vの回路なら250Vが目安です。

今回の照明回路は200Vでしたが、客先の指定で500Vのレンジで測りました。現場によっては、このように測る電圧が決められていることがあります。指定があるときは、それに従います。

照明器具はつないだままで測った

今回は照明器具をつないだまま、500Vで測りました。この現場では、それで問題はありませんでした。

ただ、LED器具のように電子回路が入った器具は、メガーの電圧で壊れることがあると言われています。そうした器具がつながっている回路では、測る前に器具の説明書を確認してください。

判定の目安

低圧の電路の絶縁抵抗は、対地電圧に応じて0.1〜0.4MΩ以上と、法令で決まっています。これを下回れば、絶縁不良です。

私は、それとは別に、2MΩ以下なら要注意として調べるようにしています。基準を下回る前に、悪くなりかけている回路を見つけるためです。

今回は、ほぼ0MΩでした。どこかで、はっきり大地につながっている値です。

漏電の場所を切り分ける手順

1. ブレーカーの負荷側で、回路全体を測る

まず、ブレーカーを切って、負荷側で回路全体を測ります。ここで値が悪ければ、その回路のどこかに絶縁不良があります。

2. 回路の中間で切り離す

照明がたくさんつながった回路では、端から一つずつ調べていくと時間がかかります。そこで、回路の中間にある中継箇所で、圧着で接続されているところを切断して切り離しました。

3. 両側を測り、悪いほうを追う

切り離したら、ブレーカー側と、その先の側の両方を測ります。値が悪いほうに、絶縁不良があります。

悪いほうの範囲で、また中間を切り離して両側を測ります。これを繰り返して、範囲を半分ずつ狭めていきます。

メガーで漏電の場所を切り分ける手順の図。照明が8台つながった回路で、まずブレーカーの負荷側で回路全体を測るとほぼ0MΩ。回路の中間で切り離し、ブレーカー側と先の側を測ると、先の側が0MΩ。悪いほうをさらに半分に切り離して追っていく

4. 見つかるまで繰り返す

今回の回路は照明の数が多く、切り離す箇所も多くて苦労しました。それでも、半分ずつ狭めていけば、端から順に調べるより早くたどり着けます。

最後に絞り込んだ先が、ビニールテープの巻きが足りず、心線が金属の箱に触れていた中継箱でした。

直し方と、直したあとの確認

圧着し直し、自己融着テープとビニルテープを巻く

原因の接続部は、圧着し直しました。その上に自己融着テープを巻き、さらにビニルテープを巻いています。

今回の原因は、ビニールテープの巻きが足りなかったことでした。自己融着テープを先に巻いてから、ビニルテープで覆っています。

切り離した接続を戻して、もう一度測る

切り離した接続を戻したら、最後にブレーカーの負荷側で、回路全体をもう一度測ります。今回は、ほぼ0MΩだった値が100MΩまで戻りました。

一か所直しても、ほかにも悪いところが残っていることがあります。切り離した接続もすべて戻した状態で、回路全体を測って確かめます。

再発を防ぐために

この現場のあと、接続部はできるだけ自己融着テープを使うか、接続コネクタを使うようにしています。

切り離して探す手間を考えると、最初の接続を丁寧にしておくことが、いちばんの対策です。

まとめ

  • 漏電ブレーカーがない回路でも、地絡電流が大きければ配線用遮断器が落ちる。落ちたときは漏電も疑う
  • メガーはブレーカーを切って、線と大地の間を測る。レンジは回路の電圧に合わせる(200V回路なら250V)。今回は客先指定で500Vで測った
  • LED器具など電子回路の入った器具がある回路は、測る前に器具の説明書を確認する
  • 法令の基準は対地電圧に応じて0.1〜0.4MΩ以上。私は2MΩ以下を要注意として調べている
  • 場所を探すときは、回路の中間で切り離し、両側を測って悪いほうを追う。半分ずつ狭めていく
  • 直したら、切り離した接続を戻して、ブレーカーの負荷側で回路全体を測り直す
  • 接続部は、自己融着テープか接続コネクタを使う

漏電の場所探しは、測って、切って、また測る、の繰り返しです。照明の数が多い回路ほど、半分ずつ狭めていく探し方が効いてきます。

電気ライオン

水力発電所で、電気設備の保守と現地試験を担当しています。経験は10年ほど。
継電器試験、無水・有水試験、測定器の使い方など、自分の手でやってきたことだけを書いています。
電験三種、第一種電気工事士、1級電気工事施工管理技士、消防設備士甲種第4類。

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