CA500ではじめる計装機器の校正|若手技術者が最初に覚えること

キャリブレータを使用した計装機器の校正の記事のアイキャッチ画像。12.000mAを出力・測定しているキャリブレータと差圧伝送器。信号発生(出力)、測定・確認、調整・校正の流れを示している。 測定器の使い方

制御盤に表示される温度や圧力の数値。その値が正しいと、どうやって確かめているでしょうか。

答えは、キャリブレータで基準の信号を入れて、表示と突き合わせることです。使うのは、SOURCEとMEASUREという2つのモードです。

水力発電所においては、下記のような計測項目があります。

・発電機固定子温度(PT100)

・発電機軸受温度(PT100)

・発電機電圧、電流、電力、周波数(VT、CT)

・鉄管水圧(圧力センサ→4-20mA)

・ニードル開度、デフレクタ開度(開度検出→4-20mA)

・発電機の回転数(SSG) などなど

これらの計器表示に間違いがないかの確認試験です。

ぜひ、読んでいただき技術力の向上に生かして頂ければ幸いです。

なぜ計装機器を校正するのか

計装機器(温度や圧力を信号に変えて伝える機器)は、使い続けるうちに少しずつ指示がずれます。これを放置すると、実際の温度と制御室の表示が食い違い、製品品質や安全に影響します。

用語を整理します。点検は、動作しているかを確認すること。校正は、基準となる標準器と比べて誤差がどれだけあるかを測り、記録すること。調整は、その誤差を許容範囲に収まるよう機器側を合わせ込むことです。校正は「測って記録する」までであり、調整とは別の作業となります。

CA500は、横河計測さんのキャリブレータと呼ばれる試験機です。校正に必要な信号の出力と測定を1台でこなせる、テスターよりも多機能なものです。電流、電圧、熱電対、測温抵抗体などに対応しますが、対応範囲や確度はメーカー仕様を確認してください。従来は標準器と測定器を別々に持ち込んでいた作業が、1台で完結します。←すごい楽です。しかも本体が小型かつ電池駆動のため携帯可能です。

調整したときは、調整前と調整後の数値を両方記録しておきます。

まず覚える2つのモード:SOURCEとMEASURE

CA500の操作は、SOURCE(信号を出す)かMEASURE(信号を読む)のどちらかを選ぶところから始まります。

SOURCEは、CA500が信号源になるモードです。変換器の代わりに4mAや12mAを出力し、それを受け取る調節計や記録計が正しく表示するかを確認します。つまり、下流側の機器を試す使い方です。

MEASUREは、CA500が測定器になるモードです。センサや変換器が実際に出している信号を読み取り、あるべき値とどれだけ違うかを確認します。こちらは上流側の機器を試す使い方です。

迷ったら「今の自分は信号を作る側か、受け取る側か」を考えます。校正対象の機器から見て自分がどちらに立っているかを意識すれば、選択を間違えません。

値が出ないときは、まずモードを確認します。SOURCEのままでは、信号を読むことはできません。

実践①:4-20mAループの校正

4-20mA(計装で使う電流信号の標準)は、測定範囲の0%を4mA、100%を20mAで表します。0%を0mAにしない理由は、断線と区別するためです。0mAであれば「値がゼロ」ではなく「回路が切れている」と判断できます。この考え方をライブゼロと呼びます。よくあるのは4mAより信号が少なくなると、断線警報を出力します。

手順は次のとおりです。

  • 対象ループ(計装信号の電流回路)を特定し、制御室に連絡して校正中の扱いにしてもらう
  • 対象機器の配線を外してCA500を接続する(接続方法と極性は機器の取扱説明書とメーカー仕様を確認する)
  • SOURCEモードで4mA、8mA、12mA、16mA、20mAと順に出力する
  • 各点で受信側の表示値を読み、基準値との差を記録する
  • 許容範囲を超えていれば調整し、調整後に同じ手順で再確認する

校正信号を入れる前に、制御室へ連絡しておきます。連絡がないと、異常値として警報が出てしまいます。

実践②:温度センサの校正

温度センサの校正では、実際に温度をかけるのではなく、センサが出すはずの信号をCA500で作り出します。ここで重要なのは、センサの種類によって作る信号が違う点です。

熱電対(2種類の金属の接合部で温度差を電圧に変える素子)は、温度に応じた微小な電圧を出します。したがってCA500は電圧を模擬します。K型やT型など種類ごとに温度と電圧の対応が異なるため、必ず種別を合わせます。

測温抵抗体(温度によって抵抗値が変わる素子。Pt100などが代表)は、温度に応じて抵抗値が変わります。したがってCA500は抵抗を模擬します。Pt100は白金が使用され、100℃で0Ωとなる品物です。温度が上がると抵抗値も上がるという特性を活用しています。

配線は通常三線式がよく使われます。配線抵抗を無視することが可能です。

いずれも設定画面でセンサ種別を選びますが、この選択を誤ると、CA500の表示は正常なのに実際の信号は違うという状態になります。対応するセンサ種別はメーカー仕様を確認してください。

熱電対は、設定がK型のままT型の回路を校正すると、全点がずれます。測る前にセンサ種別を確認します。

記録の残し方と便利機能

校正は記録を残して初めて意味を持ちます。最低限、対象機器の名称と管理番号、校正日、使用した標準器、各測定点の基準値と実測値、判定、作業者名を残します。調整した場合は、調整前と調整後の両方を書きます。後から見た人が「いつ、どの状態だったか」を追えることが目的です。

CA500にはオートステップ機能があり、あらかじめ設定した出力値を一定間隔で自動的に切り替えます。0%、25%、50%、75%、100%といった複数点の確認を、片手で操作しながら進められます。設定方法や使用できる範囲はメーカー仕様を確認してください。

もう一つ忘れてはいけないのが、CA500自身の校正期限です。標準器が狂っていれば、それで測った結果はすべて信用できません。現場に持ち出す前に、本体の校正ラベルの期限を確認する習慣をつけてください。

標準器は、校正の有効期限内であることを確認してから使います。期限が切れていると、その日の記録がすべて無効になります。

ほかの測定器をどう使い分けているかは、現場で使う電気計測器の使い分けにまとめています。

まとめ

さて、みなさんCA500を用いた計装機器の校正について理解することができましたでしょうか?

若手技術者向けのため、踏み込んだ説明までは省いていますので、ざっくり概要が分かれば良いと

思っています。

これからの電気技術者の技能向上のために少しでも助けになれれば幸いです。

引き続き電気について発信していくつもりですので、良かったら読んでもらえると嬉しいです。

では、今日はこれにて失礼します。

ご安全に!!!

電気ライオン

水力発電所で、電気設備の保守と現地試験を担当しています。経験は10年ほど。
継電器試験、無水・有水試験、測定器の使い方など、自分の手でやってきたことだけを書いています。
電験三種、第一種電気工事士、1級電気工事施工管理技士、消防設備士甲種第4類。

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