接地抵抗測定器の使い方を現場目線で解説|基準値・手順・コツ

接地抵抗測定方法の記事のアイキャッチ画像。10.2Ωを表示する接地抵抗計と、地面に打ち込まれた補助接地棒に緑・黄・赤のリード線を接続した状態を示している。 電気の基礎

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電気の勉強を始めると必ず出てくる「接地(アース)」。第二種電気工事士の試験でも問われますが、いざ現場で接地抵抗測定器を手に取ると、「補助極ってどこに打つの?」「この数値、合格でいいの?」と戸惑う人がほとんどです。

私は水力発電所の保守を中心に10年以上、数えきれないほど接地抵抗を測ってきました。この記事では、教科書の数字だけでなく、現場で実際に確かめてきたコツと失敗談を交えて、測定器の使い方をやさしく解説します。

接地抵抗測定の目的と接地種別ごとの基準値

接地とは、電気を大地へ逃がす「安全の逃げ道」です。漏電したとき、人ではなく大地へ電流を流すことで感電や火災を防ぎます。その逃げ道がきちんと働くか、抵抗値が低いかを確かめるのが接地抵抗測定です。抵抗が高い=電気が逃げにくい、ということなので、基準以下に収める必要があります。

接地工事は電技解釈(電気設備技術基準の解釈)で4種類に分かれ、基準値は次のとおりです。

種別主な対象接地抵抗の基準値
A種高圧・特別高圧機器の外箱など10Ω以下
B種変圧器の高圧側と低圧側の混触防止計算で決まる(※下記)
C種300Vを超える低圧機器10Ω以下(※)
D種300V以下の低圧機器100Ω以下(※)
  • C種・D種の(※):0.5秒以内に電路を自動遮断する装置を設ける場合は、いずれも500Ω以下まで緩和されます。
  • B種の(※):固定値ではなく、「150 ÷ 1線地絡電流(A)」などで計算します(遮断時間により150が300・600になる場合あり)。数値は条件で変わるため、現場では計算条件の確認が必須です。

受験者がつまずきやすいのがB種です。「○Ω以下」と暗記できず不安になりますが、B種だけは計算で決まると覚えておけば十分です。

接地抵抗測定器の種類(簡易/精密・デジタル/アナログ)

測定器は大きく「精密測定(3極法)」用と「簡易測定」用に分かれます。私の現場では、機種を次のように使い分けています。

  • 主力:HIOKI(日置電機)のデジタルタイプ … 数値が読み取りやすく、判定に使う正式な測定はこれが中心。
  • アナログタイプ … 針の振れで安定具合を見たいときに併用。
  • 共立電気(KYORITSU)の簡易タイプ … 補助接地極を打ち込めない場所で活躍。

デジタルは読み取りが速く初心者向き、アナログは値のふらつき(安定しているか)が視覚的に分かるのが利点です。どちらが上ということはなく、場面で使い分けるのが実務の感覚です。

3極法と2極法の使い分け

私は基本的に3極法を使います。正式な判定値は必ず3極法です。一方、「だいたいの値を知りたい」参考測定のときだけ2極法を使います。つまり、判定に残す数字=3極法、目安=2極法という線引きです。

測定手順(3極法を中心に)

3極法は、測定したい接地極(E)に加え、補助の電圧極(P)と電流極(C)を地面に打ち込んで測ります。

  1. 検電・安全確認:測定対象が活線でないか、検電器で確認する(後述の安全章を必ず参照)。
  2. 補助接地棒を配置:被測定極(E)から、電圧極(P)・電流極(C)をほぼ一直線になるよう打ち込む。配置の距離は迷う必要がありません。測定器のリード線が最初から10m・20mの長さになっているので、短いほう(10m)の先にP極、長いほう(20m)の先にC極を打てば、適正な間隔が自然に決まります。
  3. 測定線を接続:E・P・Cの端子と接地棒を、色分けされたリード線で正しくつなぐ。
  4. 地電圧を確認:多くの機種に地電圧チェック機能があるので、まず確認する。
  5. 測定:ボタンを押し、数値が安定してから読み取る。

補助極を一直線に伸ばせず、リード線をきちんと展開できないと値が正しく出ません。ここが現場で一番つまずくところです。

現場での注意点・失敗しないコツ

ここからは、私が実際にやらかした・確かめてきた「教科書に載っていない」部分です。

打つ前に地質を見る

補助接地棒は、石(礫)が多い地面では真っ直ぐ打ち込めません。無理に打つと曲がったり、接触不良で値が暴れたりします。私は打ち込む前に必ず地質を確認し、打てそうな柔らかい場所を選ぶようにしています。打ち込み位置の見極めが、測定の成否を半分決めます。

打てない場所は「メッシュ」で代用

過去に、測定線をまっすぐ伸ばせず補助極も打てない場所で、値がまったく安定しなかったことがあります。そのときはあえて打ち込まず、メッシュ(補助接地網)を地面に敷いて補助極の代わりにしました。コンクリートやアスファルトの上などでは、この手が効きます。

基準を超えたらどう下げるか(D種の実例)

あるD種接地で、基準の100Ωを超えてしまったことがありました。改善工事として接地極を追加で打ち込み、接地抵抗低減剤(チコーゲル)を流して固めたところ、無事100Ω以下に下げられました。「測って終わり」ではなく、ダメなときに下げる手段まで知っておくと現場で慌てません。

端子と接地種別の取り違えに注意

初心者がやりがちなのが、測定線の接続箇所(端子)の挿し間違いと、判定する接地種別の取り違えです。たとえば本来A種で見るべき場所をD種の基準で判定すると、合否がまるで変わってしまいます。「今測っているのは何種か」を毎回声に出して確認するくらいでちょうどよいです。

測定線のクリップ切れに備える(修理道具を携帯)

意外と多いのが、測定線(リード線)の先のクリップが切れる・断線するトラブルです。これが起きると、その場で測定そのものができなくなり、出直しになります。私は予備のクリップや圧着工具・ドライバーなど、簡単な修理ができる道具を一緒に携帯するようにしています。屋外の現場では、クリップ1個で半日がムダになることもあるので、地味ですが効く備えです。

安全:相方への合図を絶対に欠かさない

最後に最重要の安全です。二人で測定するとき、相方の準備が終わる前に測定してしまい、感電につながったヒヤリがあります。以来、私は測定前に必ず相方へ合図を送り、双方の「準備OK」を確認してからボタンを押します。活線の近くで作業することもあるため、検電と声かけ・合図の徹底は、何より優先してください。

まとめ

接地抵抗測定は、「逃げ道」が正しく働くかを確かめる、安全の要となる作業です。

  • 基準値はA種10Ω/C種10Ω/D種100Ω(遮断装置ありで500Ω)/B種は計算
  • 正式判定は3極法、参考は2極法
  • 成否は打つ前の地質確認補助極の配置で半分決まる
  • ダメなら接地極追加+低減剤で下げる手段がある
  • 安全は検電と相方への合図が絶対

数値を覚えるより、手を動かして測り、現場で確かめること。それが合格後もずっと役立つ、いちばんの近道です。

接地抵抗は地絡保護の前提になる値です。その地絡を検出する継電器の試験については、保護継電器試験の基礎|なぜ行い、何を試験するのかで全体像を解説しています。

北陸を拠点に、水力発電所の保守を中心とした電気の仕事に10年以上携わっています。保有資格は第一種電気工事士/第二種電気工事士/1級電気工事施工管理技士/第三種電気主任技術者(電験三種)/消防設備士甲種第4類。「難しそうな電気の話を、身近に」をモットーに、測定器の使い方や試験手順など、現場で確かめてきたことを発信しています。

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