絶縁抵抗計(メガー)の使い方|電気のプロが教える測定手順とよくある失敗3選

絶縁抵抗測定の記事のアイキャッチ画像。手袋をした手が絶縁抵抗計を操作し、500Vレンジで1000MΩを表示している。奥の分電盤のブレーカーに赤と黒のテストリードを当てている。 測定器の使い方

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絶縁抵抗を測ってみたものの、出てきた数値が正しいのか判断できない。0MΩと表示されて、本当に絶縁不良なのか迷う。

0MΩと出ても、絶縁不良とは限りません。測り方の間違いで、そう表示されることもあります。

水力発電所の保守で10年以上測ってきた中でも、測り方のせいで数値を見誤る場面は、現場で何度も見てきました。

絶縁抵抗測定とは何か

絶縁抵抗測定は、電線やケーブルの絶縁が保たれているかを確認する作業です。電気が流れてはいけない場所、つまり大地や金属部分に電流が漏れていないかを調べます。

測定値の単位はMΩ(メガオーム)で、値が大きいほど絶縁が良好です。低圧の電路では、対地電圧に応じて0.1〜0.4MΩ以上が判定の目安になります。

ただし、基準値を超えているかどうかだけを見るのでは不十分です。同じ設備の前回値と比べて下がっていないかを追うことで、絶縁の劣化を早い段階で見つけられます。

絶縁抵抗計の基本的な使い方

測定の手順は次のとおりです。

  1. 測定する回路の電源を切り、無電圧であることを確認する
  2. 回路の電圧に合った測定レンジを選ぶ(100V回路なら125V、200V回路なら250Vが目安)
  3. E端子のアースクリップを接地側に接続する
  4. L端子のリードを測定したい箇所に当てる
  5. 測定ボタンを押し、表示された値を読む
  6. 測定後は放電してから片付ける
絶縁抵抗計のE端子を接地側に、L端子を測定したい電路に接続する配線図
図2 E端子は接地側、L端子は測定する電路へ

手順そのものは難しくありません。ただ、このとおりに進めても正しい値が得られない場面があります。次の章では、その原因になりやすい3つを取り上げます。

現場でありがちな失敗3つ

① リード線の断線で、測定値が正常に見えてしまう

意外に多いのが、測定リードの内部断線です。外から見た限りでは異常がなく、被覆の中の導体だけが切れている状態です。

正常なリード線では測定電流が流れて絶縁不良を検出できるが、断線したリード線では測定電流が流れず良好と表示されることを示す比較図
図1 リード線の断線が測定値に与える影響

この状態で測定すると、回路に測定電圧が加わりません。その結果、実際には絶縁不良であっても高い値や「∞」が表示され、良好だと判断してしまいます。不良を見逃すことになるため、3つのなかで最も危険な失敗です。

対策は、測定前にリードの先端どうしを接触させて0MΩを示すか、離して∞を示すかを確認することです。数秒で終わるので、測定前の習慣にしておくと確実です。

② アレスタが動作して、0MΩと表示される

回路にアレスタ(SPD、サージ防護デバイス)が接続されていると、測定電圧でアレスタが導通することがあります。絶縁が正常であっても0MΩに近い値が表示されるため、絶縁不良と早合点しやすい場面です。

必要のない調査や部品交換につながるので、測定前に回路の構成を確認しておきます。アレスタが入っている場合は、切り離してから測定します。盤の図面で位置を把握しておくと、現地での判断が早くなります。

③ 測定レンジを間違えて、機器を損傷させる

電子回路を含む機器がつながった状態で、1000Vなどの高い測定電圧を加えると、基板や機器を損傷させることがあります。

測定する回路の使用電圧を確認し、それに合ったレンジを選びます。電子機器が含まれる回路では、機器を切り離してから測定するのが原則です。判断に迷うときは、低いレンジから確認していくと安全側に倒せます。

私が現場で使っている絶縁抵抗計(HIOKI IR4052-51)

私が普段使っているのは、日置電機の絶縁抵抗計 IR4052-51 です。50V・125V・250V・500V・1000Vの5レンジを備えた機種で、スイッチ付きのテストリードが付属するタイプです。

現場で助かっているのは、片手で操作できることです。リード側のスイッチで測定を開始できるので、盤の中に手を入れた姿勢のままでも測定できます。

照明が付いている点も実用的です。盤内や屋外では測定箇所が見えにくいことがよくあります。手元を照らせるだけで、作業の確実さが変わります。

活線警告機能があることも安心材料です。無電圧の確認は当然行いますが、思い込みや確認漏れは誰にでも起こり得ます。機器側でも警告してくれる構造になっていることには、安全上の意味があると考えています。

コンパレータ機能は普段から使っています。判定値をあらかじめ設定しておけば、測定のたびに数値を読んで基準と比べる手間がなくなります。測定箇所が多い点検では、この差が効いてきます。

一方で、長く使ううえで注意している点もあります。測定リードは、根元の部分で断線しやすいことです。付属のスイッチ付きリードでは、スイッチそのものが効かなくなることもあります。

前の章で「リード線の断線で測定値が正常に見えてしまう」と書きましたが、これは他人の話ではなく、自分の機器でも起こります。リードは消耗品と考え、引っ張らない、根元を曲げたまま収納しないといった扱い方を心がけています。そのうえで、測定前の導通確認を欠かさないようにしています。

IR4052-51を取り扱っている販売店です。同じIR4052でも、付属するテストリードの違いで枝番が分かれています。

日置電機(HIOKI) 絶縁抵抗計 IR4052-51

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テストリードは本体より先に寿命が来る

本体が壊れる前に、まずリードが傷みます。根元の断線、スイッチの接触不良。どちらも「測れてはいるが値が正しくない」という一番やっかいな壊れ方をします。予備を1組持っておくと、点検の当日に慌てずに済みます。

IR4052-51の交換用リードはL9788-11です。ただし、メガーの機種と付属リードの枝番によって適合するものが変わります。必ずお使いの本体の型番で確認してから選んでください。

HIOKI L9788-11を探す:Amazon / 楽天市場 / Yahoo!ショッピング

ほかの測定器をどう使い分けているかは、現場で使う電気計測器の使い分けにまとめています。

絶縁不良が見つかったときに、回路を切り分けて場所を探す手順は、漏電の調べ方にまとめています。

まとめ

絶縁抵抗測定は基本的な作業ですが、「リード線の断線」「アレスタによる0MΩ」「レンジの選択ミス」という3つの落とし穴があります。

測定前にリード線の導通を確認する。回路にアレスタが入っていないかを確かめる。使用電圧に合ったレンジを選ぶ。この3つを守るだけで、判断の誤りと機器の損傷はかなり防げます。

そして、測定値は単独で見るのではなく、同じ設備の前回値と比べてください。数値が基準を上回っていても、下がり続けているのであれば、絶縁は劣化しています。

絶縁抵抗測定と同じく、保護継電器の試験も「事故のときに正しく働くか」を確かめる作業です。継電器試験の全体像は保護継電器試験の基礎|なぜ行い、何を試験するのかにまとめています。

ブレーカを切ったのに活線警報が点灯して測れない、ということがあります。原因が誘導電圧なのか回り込み電圧なのかを見分ける方法はブレーカを切ったのに電圧がある|誘導電圧とLo-Z測定にまとめました。

電気ライオン

水力発電所で、電気設備の保守と現地試験を担当しています。経験は10年ほど。
継電器試験、無水・有水試験、測定器の使い方など、自分の手でやってきたことだけを書いています。
電験三種、第一種電気工事士、1級電気工事施工管理技士、消防設備士甲種第4類。

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